建築士がこれから取り組む「空き家対策」

 令和5年住宅・土地統計調査結果によると全国の空き家は900万戸に達しておりこれは今後の人口減少と反比例し更に増えていく事になります。国は中古住宅の活用拡大を進める中、令和7年4月より施行された建築基準法改正により、リフォームの規模や種類によりますが小規模な既存住宅においても構造計算や省エネたい確認申請が必要となりました。

 こうした中、若い世代で「夢の新築一軒家」時代から古いものをリノベーションする時代へとシフトしていく傾向があります。私自身、地域や所有者にとって悩み所である空き家(いわゆるボロ家)の相談が増えています。ボロボロ度の高い物件ほど生まれ変わらせる期待感にワクワクしてしまうため知り合いの中ではよく変人建築士と言われてしまいます(笑)。住宅以外にも店舗や宿泊等の商業的なものから福祉関係に至るまで様々な利活用が進んでいます。

 また、NPOや設計事務所を運営する中で既存住宅に多く携わる機会も多く、点的な一軒の住宅相談だけではなく空き家の目立つ地域から観光化や移住推進を目的とする面的相談も多く受けるようになりました。まちづくりの基本は投下型ではなく地域が次の世代にどういうまちを残していきたいか、地域が変わる事へのメリット、デメリットはなにかを地域のスピードに合わせ地域の性質や気質をくみ取りマネジメントしていきます。そのため、まちづくりにはマニュアルは意味を成さず、建築の知識だけではなく観光動向や移住定住、資金計画や提案力などその目的に必要な関係分野を吸収する必要もあります。

 これから更に増え続ける空き家問題に対し「建築士」として、専門性も深くなると共に活動の幅も広がっていきます。空き家所有者や地域に寄り添う事、利活用する側に対しても安全・安心な提案を生み出していくまちづくりのマネジメント的な役割が必要であると思います。

(NPO法人空き家相談センター理事長 一級建築士 橋詰 慎)